2020年冬ドラマ

【ケイジとケンジ】1話のあらすじネタバレと感想!所轄の熱血刑事と地検の東大卒検事

ドラマ「ケイジとケンジ」第1話が2020年1月16日(木)に放送されました。

二人合わせて3m70㎝という半端ないガタイの刑事と検事が横浜を舞台にして展開するガチバトルです。

189㎝の東出さんの隣に立つと、181㎝の桐谷健太さんがふつーに見える、という不思議なドラマですね。

それにしても濃いキャストさん揃ってますよ!
案外ダークホースになるかもしれない作品です。

ここでは、「ケイジとケンジ」第1話のあらすじ(ネタバレ)と感想、視聴者の声を紹介していきます。

【ケイジとケンジ】1話のあらすじ(ネタバレ)

交わるか…交わらないか…?

容疑者を逮捕し、送検する警察=捜査官。
被疑者を起訴し、裁判にかける検察=法律家。

横浜の街で交わらないはずの二人が出会い、この物語は始まるのです。

熱い警官

横浜の桜木警察署管内のとある交番に、熱血なお巡りさんがおりました。
その名を仲井戸豪太(桐谷健太)。

市民や子供たちからは頼りにされる存在です。

ある夜、塾帰りの小学生らを見送った直後に、外国人の飲食店主が駆け込んできました。

男が暴れている、というのです。

豪太は現場に走り、その暴漢を同僚と二人で取り押さえて現行犯逮捕し、めでたく県警本部長から表彰される栄誉を博しました。

「自分で自分を褒めてやりたい…」

調子に乗ったその勢いで豪太は本部長に直訴までしていました。

「私にチャンスを!街の平和を脅かす犯罪者どもを根こそぎ、この仲井戸豪太の手で!とっ捕まえさせてください!!」

ズレてる検事

「ぽざーだ…?」
「ポザーダ!」
「ごめんなさい、知りません…」

仲井戸みなみ(比嘉愛未)は困惑気味に答えました。

雰囲気の良いレストランで、ワインを傾けながら、今まさにディナーが始まったばかりです。

目の前にいる上司の真島修平(東出昌大)はワインだけでなく雰囲気にも酔っているようで…ポルトガル語の発音に忠実にしゃべろうとして盛大に滑っています。

「ポルトガルには、古いお城を回収したホテルがたくさんあるんです」
「…ポルトガル」
「でもポザーダは国営のホテルだから、サービスはまぁ、そこそこ…やっぱり、ブサコパレスです」
「ぶ…ぶさこ」
「ブサコパレス」

にっこり笑って、眞島は復唱しました。

「ブサコパレスはもともとカルメル会の修道院だったんです」

肉が美味くて、ワインがするする入って、絶好調になってきた真島はその建物の様式や美しさを思い出してはこってりと語り、みなみは心中どんびきしながらも話を合わせていたのですが。

「…泊まってみたいと思いませんか?」
「へ?」
「ブサコパレス…」
「あ、…そうですね…」
「じゃあ、一緒に」
「一緒に?!真島検事と???」

素っ頓狂な声を上げてしまったみなみの顔を見て、眞島は「冗談でーす」と張り付いたような笑顔を浮かべました。

彼はこんなふうに、みなみに猛アプローチをかけていたものの、上滑りしてピントがズレまくっており、肝心のみなみには「全然刺さらない」と酷評されていたのです。

遅咲きの新人刑事

表彰のご褒美なのか…豪太は桜木署の捜査課・強行犯係に配属され、憧れの刑事になりました。

彼は高校の体育教師から転職したという経歴を持っており、36歳という年齢での転身です。

初出勤にもかかわらず、派手なブルゾンをひっかけて現れたことでいろんな意味で注目を集めることになったのです。

大貫署長(風間杜夫)に挨拶をし、職場のオフィスに向かうと、やっぱり彼は浮いています。

…まるで昭和のドラマに登場する熱血刑事のよう。

配属初日にして、上司の多胡課長(矢柴俊博)に持て余されてしまう始末です。

ベテランの桂(菅原大吉)と若手の目黒(磯村勇斗)、そしてクレーマーからの電話に頭を下げ続ける毛利(今田美桜)らに引き合わされ、“刑事”としての仕事が始まったのです。

エリート検事のせめぎ合い

「これだけの証拠が揃っているんです。あなたが否定した所でどうにもならない…どうにもね」

目の前に座っている被疑者は車にスプレーで落書きを繰り返していた中年女性です。

防犯カメラに映っているその犯行時の映像を見ても頑なに否定する彼女に、真島は理詰めでぐいぐいと押していきました。

決して熱くならず。

淡々と攻めていく彼をみなみはフォローし、連携して起訴に持ち込むのでした。

意気揚々と支部長検事の樫村(柳葉敏郎)の元へ報告に向かった真島でしたが。

「検事になって何年になる?」
「5年、です」
「自白は刑事訴訟を円滑にするためのものじゃない。いい加減理解しろ!」
「…申し訳ありません」

厳しめの言葉の末に勝ち得た起訴でした。

が!

その直後にばったりすれ違った後輩の日下検事(渋谷謙人)が愚痴を垂れる風で実は“殺人未遂事件”を任されていると自慢され、真島の顔が強張りました。

そのさや当て、鍔迫り合いの様子を見ていた日下の担当事務官の森岡(奥山かずき)がタレこむと、ミナミはため息をつきました。

日下は東大現役学生で司法試験合格、真島は年上ですが、ロースクールを経ての合格ということで、エリートにもいろいろと苦労があるようです。

「真島さんは別の惑星の住人、て感じ」

そんな輩からモテても嬉しくない…彼女らにとっては、社会一般の検事のイメージとは乖離した生き物の相手を日々しているようなものなのかもしれません。

連続空き巣犯を捕まえろ!

毛利がとっていたクレーム電話の中身は、管内で続く連続空き巣事件に関するものでした。

一昨年の末からずっと続いているその事件に怒った市民が電話をかけてきていたのです。テレビのニュースでも“警察の対応に不安の住民”というテロップが流れている始末です。

「連続空き巣班を早く捕まえろ、っていう市民からの圧力」

「圧力、なんて言っちゃダメでしょ、毛利君」

今や、桜木署管内の最重要事件となってしまったその連続空き巣事件ですが、本来は盗犯係が行うその捜査に、「俺が犯人を捕まえてやりますよ!」とガンガン攻めていく豪太。

年齢はずっと若いけれど、豪太よりも刑事としてのキャリアは長い目黒も毛利も“ヤバい奴キター…”という顔で呆れていたのです。

兄と妹

ミナミが帰宅すると、玄関にぽいぽいっと脱ぎ捨てられたごついブーツ。

リビングには、その広めの部屋に転がり込んできた住人の段ボールがまだ未整理で積み重ねられていました。

豪太です。
二人は兄妹でした。

「玄関の電気は消しといてよお兄ちゃん!」

ローテーブルの前に座り込んでカップ麺をすすっていた豪太はもぐもぐ咀嚼しながら顔を上げました。

「お前いつもこんな時間に帰るんか?」

「今日は友達とご飯食べてきたの」

「俺がおるんやから飯作ってくれや」

「何で私がお兄ちゃんのご飯作らなきゃいけないの?勝手に転がり込んできて!私の生活ペース乱さないでよ!」

実は関西生まれの二人、お互いに言いたい放題です。

この部屋は元彼と二人で暮らしていたところでしたが、二年同棲して破局したのちも、みなみは一人で住み続けていたのです。

元彼のものがそこここに残っている部屋に、新しい職場に「通勤しやすいから」と勝手に引っ越してきた豪太。

大人同士の兄妹の同居も、これまた波乱含みです。

緊急逮捕!

豪太は、以前勤務していた交番に向かい、周辺で“空き巣に狙われそうな場所”はないか調べ始めました。

目黒は「まじかよ…」と呆れていましたが。

豪太は真剣です。

しかし、そのさなかにも次の犯行が重ねられていたのです。

目星をつけた辺りで張り込みをしている間、目黒とは身の上話的なことも交わしていました。

豪太が高校教師だったこと。

そしてその志望理由を話していました。

「ぶっちゃけ、ウチの高校ガラが悪くてさ、悪さする奴、いーっぱいいたんだよ。でも悪いのは大体大人なんだよなぁ。横浜のくめハングレみたいな連中が誘ってくるわけさ」

「あ~…悪の道に…」

「で、俺は思ったのさ。高校生に真っ当な人生歩ませてやるためには警察官になって悪い大人を撲滅させなきゃって」

「ボクメツ…」

「メグちゃんは?なんで警察官になった?」

「メ グ ち ゃ ん?」

「だって、目黒君でしょ?」

「言っときますけど刑事としてのキャリアは僕の方が!」

最後まで言い終わらないうちに胸を拳で叩かれてむせた目黒。

前方をガン見していた豪太の視線の先にあったのは、人がいないはずの部屋にちらつく小さな光でした。

二人は駆け出し、その光がちらついた窓のあった建物から躍り出てきた黒い人影を捕えました。

「この家の人じゃないよね!住居侵入の現行犯で逮捕!」

取り押さえた男の顔を見た時、豪太は凍り付きました。

「せんせい…?」
それは、かつての教え子・滑川(馬場徹)だったのです。

その取調室で

本来の盗犯係が取り調べしている後ろから、豪太は滑川を見ていることを許されましたが。

「絶対でしゃばるな」と言われていたにもかかわらず。

彼はやり切れない思いでいっぱいでした。

一つひとつの被害宅を確認していく中で…。

「何やってんだよ、お前」

つい、我慢しきれずに口出ししてしまった豪太。

三年で卒業して、料理人になる、という夢を持っていた彼は、仕事が辛くて長続きせず、困窮した末に空き巣をするようになったのだというのです。

「ごめんなさい、先生…」

「父ちゃんと母ちゃんまた泣かすのか?友達も励ましてくれたじゃないか!みんなを裏切ったんだぞ…お前」

ごめんなさい、と繰り返してうつむく滑川でしたが。

激高した豪太は盗犯係の同僚に取り押さえられても号泣して彼を責めたのです。

そんな滑川が送検され、担当することになったのが真島でした。

彼はまた日下より“軽い”事件を任されたことに不満を感じるのですが、樫村部長検事は「大きな事件を扱いたければ、今抱えている案件をしっかり片付けろ」とハッパをかけたのでした。

祝杯

その夜、居酒屋の片隅で、強行犯係の五名がテーブルを囲んでいました。

本来は豪太の歓迎会でしたが、本人がお通夜のような顔をしているので、多胡らは「無理なら帰っていい」と気遣いを見せました。

この職場では、逮捕したら、余罪が出たら、送検したら、祝杯を挙げるのが決まりだと言うのです。

そんな中で、豪太は土下座して詫びました。

「申し訳ありません。俺の教え子があんな悪さを…俺、教師失格だわ」

「もう教師じゃないでしょ?」

目黒がとりなすように言い、毛利も「帰っていいですから!」と慰めたのですが。

「ここで逃げたら俺は刑事も続けられない」

べそべそと泣きながら、豪太は「乾杯~~~!」と声を上げてジョッキを煽り…そしてみなみの部屋でみごとにつぶれて寝落ちしたのでした。

「送検祝い?滑川の?」

呆れたように見下ろしているみなみに「何で知ってんの?」と尋ねると、彼女は担当が真島だから、と答えたのです。

「明日から取り調べ。お兄ちゃんが捕まえた被疑者だったんだ?てか、早くお風呂入って」

「みなみ」

「ん?」

「ケンジさんに伝えてくれ。手加減なんかせんでええ。ガンガン厳しくやってくれ…って。あいつは自分の罪をしっかり償わないかんねん…」

そういうと、豪太は顔を赤鬼のようにくしゃくしゃにして号泣していました。

掘り起こされた“事件”

「余罪見込み26件」

みなみが読み上げると、真島は自分でも調書のページをめくり「よくもまぁ…」と呆れたように言いました。

滑川は検察に送致され、検事の取り調べが始まったのです。

「本当にこれだけ?まだ隠していたりして」

そう言われて、滑川はうつむき、ただ「すみません」とばかり繰り返していたのです。

次第に、彼の様子がかわりました。

「ほかにもやっているんですか?」

みなみに問われて、彼は、何もなかったので盗みはしなかったが、とある住居に入ったこと、そして逃げたことを告白したのです。

「西初音町の…大丈夫だったのかな、あのおじいちゃん」

家人と遭遇して、思わず突き飛ばして逃げた、というのです。

ちょうど一年前。

その町で老人が倒れてなくなっていたのが発見されたことを思い出した多胡。

目黒はデータベースを検索して当時の資料を探り当てました。

「外出から帰ってきた奥さんが、廊下で倒れてるご主人を見つけたんです。でも、事件にはなりませんでしたよ?」

もともと亡くなった老人は心臓が悪かったのです。

真島に頼まれた当時の資料を揃えて検察支部に持ち込んだのは豪太でした。

それを見てみなみは顔をしかめます。

「なんでお兄ちゃんが来るのよ?」

「滑川捕まえたんは俺やぞ。取り調べにも立ち会うたんや」」

「私が妹だ、って検事に言わなくていいからね。ここは検察だから!仕事だから!大阪弁もやめて!」

執務室に招き入れられ名乗ろうとしても、顔を上げることもなく手を出して「見せて」とだけ言う真島に面食らった豪太。

「え?あ、はい」

「亡くなっていたのは持田正彦さん85歳…」

説明しようとすると、真島はそれを遮りました。

「そんなのは検案書に書いてあるから…そもそも、どうして司法解剖しなかったんですか」

もともと心臓に不整脈などの持病があったこと。

妻が司法解剖を望まなかったこと___。

「事件性がある、とは考えなかったわけか、警察は」

真島のストレートな物言いに面食らった豪太は、トーンを落としながらも尋ねました。

「連続空き巣事件と…関係があるんですか?」

「滑川が“未遂”についても自白したんです」

そこで初めて、なぜその老人の死が問題になったのかを豪太は思い知ったのです。

侵入した家で家人と鉢合わせし、突き飛ばして逃げた、その後に老人が亡くなっているのが発見されている…これは“強盗致傷”になり、さらに滑川に殺意や「死んでもかまわない」という未必の故意があった場合には、“強盗殺人”という格段に重い罪になってしまうのです。

「いずれにしても、死刑、もしくは無期懲役だ」

みなみが「刑法、第240条」と捕捉しました。

「ちょっと待って…滑川は、タダの空き巣ですよ?」

「だから!ただの空き巣では済まなくなってきてるんです」

「いやいや、滑川はそんな悪い奴じゃありませんよ…!」

その物言いに、真島はぷっと噴出しました。

「悪い奴じゃない?刑事がそんなこと言います?」

豪太は、滑川が昔の教え子でその為人をよく知っていること、そして滑川自身が殺したと突き飛ばしたと自供もしていないことを指摘しましたが。

「刑事が被疑者を庇うんですか?教え子だから…?!」

真島は、豪太をはじめとする桜木署に補充捜査を依頼したのです。

上か、下か

みなみに見送られて検察庁舎から帰ろうとする豪太は、真島のあからさまなほどの上から目線にムカついて彼女に八つ当たりしていました。

しかし、みなみはあっさりと言うのです。

「そう!おにいちゃんたちは“下”!!警察が被疑者逮捕したって、検察が起訴しなかったらそこで終わりでしょ?裁判にかけるかどうかを決めるのは検事なの!!」

「はぁ?!」

「だから!真島検事に噛みついちゃダメ!」

「どっちの味方なんやお前は?!」

そう言って怒鳴りつけてもみなみは負けません。

「私はお兄ちゃんを心配してるの!!」

地団太を踏む勢いで豪太は庁舎を飛び出しました。

真島は、樫村に立件する旨を伝え、許可を求めました。

日下に笑われても、人が亡くなっている事件を見過ごせないと、折れなかった真島に、樫村は「やってみろ」と背中を押してくれたのです。

出世へのチェイス

真島が“強盗殺人”の担当をすることになった、として、面白くないのは日下です。

イライラして廊下で事務官の亀ヶ谷(西村元貴)にぶつかり、盛大に書類をぶちまけさせたのを見て、上司の徳丸検事(峯村リエ)は凄みました。

「ぶつかってきたのはアンタでしょ?日下!一緒に拾いなさい!私の!大切な!捜査資料!」

「はいっ!」

きっちりとした性格の徳丸の性格を熟知した亀ヶ谷は雑にかき集めようとする日下に「上下!」「きれいに!」と檄を飛ばし、徳丸は「まったく…」と呆れていたのです。

そして、ようやくそんな日下を出し抜いて大きな事件になる可能性の端緒を掴んだ真島は上機嫌でしたが調子に乗ってみなみを食事に誘おうとしてバッサリ断られ…星占いの通りにはなかなか思うようにいかないことを噛みしめていたのでした。

再捜査スタート

件の被害者、持田氏の自宅には鑑識が入り、一年ぶりに捜査が始まりましたが。

その間にも残された妻は掃除をし、確かな物証を発見することも難しい状況でした。

加えて、みなみに「警察は下」と言われたことへのいら立ちを隠せない豪太を、桂(菅原大吉)は見とがめ、諭しました。

「端っから教え子が犯人てのはつらいだろうけど、…試練だから」

その時、真島がみなみを伴って現場を訪れました。

「一年前のものがみつかるわけがない」とうそぶく豪太に「一年前だろうが二年前だろうが、犯罪の証拠を見つけ出すのが警察の仕事です!」と返す真島。

そんな中で、二階の和室の押し入れの中に、たった一本の毛髪が発見されたのです。

DNA鑑定の結果、それは滑川のものであると判明し、それは住宅に侵入したという事実への大きな証拠としてとらえられたのです。

あとは、滑川が突き飛ばしたことと、持田氏の死因の因果関係が解明されたら絶対的な証拠になります。

機嫌がよくなった真島は、懲りずにみなみを誘いました。

「みなみさん、バカリャウはお好きですか?」

「ば…ばかりゃう?」

「ポルトガル人は、みんな大好き」

「食べたことありません」

「美味しいですよ!取り調べが終わったら、食べに行きませんか?」

「じゃあ…」

しかし。

ここから雲行きが少しずつ怪しくなっていったのです。

自供と否認

移送される滑川を追って、豪太が話しかけました。

「お前、なんで突飛ばしたりしたんだよ!」

その言葉にハッとした彼は、真島の取り調べの際に“突き飛ばした”ことを覚えていないとして否認し始めました。

勿論、最初の取り調べの時の調書にはその自供が明記され、署名し、拇印も押されていたのですが、彼は口を閉ざし、黙秘を始めたのです。

「刑事から言われた、と。察したんですよ、あいつは。相手が死んだことを。これ以上喋ったらまずいことになるって」

真島は豪太を責めました。

「アナタでしょ?余計なことを言ったのは。それでも刑事ですか!___こんなにいい事件、めったにないチャンスなのに」

豪太はその最後のひと言を聞き逃しませんでした。

「チャンス?…滑川が強盗殺人で死刑になれば、あんたは出世できるわけや」

「滑川は人を殺しているかもしれない。だったら、相応の罰を受けるのが当たり前でしょう!」

二人はみなみが止めるのも聞かずにヒートアップするばかりです。

「あなたはまだ何も知らない」

真島は怒りも込めて豪太に詰め寄りました。

警察が送致してくる被疑者の中で、検事が取り調べて起訴するのは3割。

後の7割はお咎めなし。

しかし、起訴された3割はほぼ10割が裁判で有罪になるのです。

「どういうことか解りますか?あなた方警察は3割バッターでもいいかもしれないが、検察は10割バッターじゃなきゃいけないんですよ。我々は感情ではなく、法と証拠に基づいて厳正に判断するんです!検事は法律家ですから!」

「法律家…」

「あなた方刑事は捜査官。捜査上のパートナーかもしれないが、あなたと私では決定的に立場が違うんです___ですよね、みなみさん」

急に話を振られて驚きながらも、みなみは「はい」と答えたのです。

「いや…“はい”やない!こいつに毒されてるぞ、みなみ!」

「みなみ?」

「悪い奴捕まえんのに、上も下も立場が違うとか、そんなもんあるかい!」
「悪い奴に同情するのはダメでしょ!」
「滑川はそんな悪い奴ちゃう、こいつが殺人犯にしたてようとしてるんやぞ、みなみ!」

「どうしてみなみさんを呼び捨てにするんだ?!」
「妹呼び捨てにして何が悪い?!」
「い も う と???」
「止めてお兄ちゃん!」
「お に い ち ゃ ん???」

真島の目玉が飛び出しそうに見開かれて豪太を凝視していました。

「偉そうに講釈垂れる前にな!人の名前くらいちゃんと憶えんかボケェっ!」

この時初めて真島は豪太の仲井戸と言う名前に気づき、呆然と顔をゆがめました。

本当に大事なこと

「やっぱり最初に言っておけば良かった…」

豪太が去った後の執務室で、真島とみなみはぐったりと脱力していました。

みなみは高校卒業以来ずっと横浜に住んでいたので関西訛りが抜けて、気づかれなかったのです。

「すみません!みなみさんのお兄様に失礼なことを…」

いきなり真島に腰を折る深さの礼をされて、みなみも豪太の無礼を詫びました。

「みなみさん、僕のこと怒ってるんじゃ…」

「検事として当然のことをおっしゃってるんですから」

「良かったぁ!」

「でも、ポルトガル料理を食べに行くのは、もう無理ですね」

思いの外時間がとられていたことに気付いた真島は、ソファに突っ伏して呻き声を挙げました。

豪太は、大貫署長に直訴しました。

検察が上で、警察が下と言うのはおかしい、と。

しかし、その考えを認めてくれはしたものの、真島のような考え方の検事は少なくないし、また、同様に考える警察官もいる、というの
です。

「でも、今一番考えなきゃいけないことは何?中井戸君」

そう問いかけられて、豪太は答えました。

「滑川のこと、です」

しかし、大貫は頭を振って豪太を見据えました。

「もっと大事なことがあるでしょう!」

その真意を汲み取った豪太は、被害者遺族の持田家を訪ねました。

「警察の肩から伺いました。主人は、空き巣に突き飛ばされて亡くなったのかもしれない、って」

豪太を迎え入れた夫人は、静かにそう言いました。

仏壇には、穏やかに笑う故人の写真が飾られていたのです。

「もし、そうだとしたら、重い罰を望まれますか?」

「重い罰?」

「犯人を、死刑にしてもらいたい、と」

「わかりません。どうしたってもう、主人は還ってこないんですから」

取調べでは、変わらず滑川を問い詰める真島がいました。

「最初に持田氏を突き飛ばした、と言い出したのは君だよ?」

事の重大さを認識した滑川は貝のように口を閉ざし、黙秘を続けていました。

ぐったりと疲れて帰宅したみなみは、玄関に脱ぎ捨てられた靴と点けっぱなしの灯にいら立ちを隠しません。

「どうしたの?」
「滑川に同情してる場合やない。一番かわいそうなのは、亡くなった持田さんと、残された奥さんや…」
「そりゃそうよ」
「そやけど…死刑は…せめて無期懲役…それでも、あいつの人生は、もう…」
「ご飯作る。それとも、食べに行く?近くに美味しい店があるよ」
「やっぱし俺は、刑事に向いてへんのかな…交番勤務に戻った方がええんかな」
「なにそれ?」
「みなみ、俺は、刑事失格なんか?」
「ため息ついてるのは、お兄ちゃんだけじゃない。真島さんだって、悩んでる…」

その夜遅く。
退庁しようとする樫村の元を、真島は訪れました。

「滑川か」
「はい、起訴しようと思います」

決済を頼み、差し出された書面には___。

そして、事件は…

みなみに連れられて訪れた料理屋「OKAZU-YA」を切り盛りしているのは、元裁判官という経歴の女性、宮沢かほり(奥貫薫)でした。

「マジで?」

かほりの母親の店だったのを、三年前に継いだというのです。

「裁判官辞めて?」
「料理作るの、好きだったし」
「そんな人が…この世におるとは」
「でもみなみちゃんにお兄さんがいたとはねぇ…しかも刑事さんとは」

そこに表れたのは真島です。

豪太の姿を見て“うわぁ…”とため息をつきました。

彼もまた、この店の常連だったのです。

「きょうはもうお仕事一段落ついたのね?お疲れさまでした」

かほりが好みの酒を差し出すと、真島は小さくうなずいたのです。

「お疲れさまでした」

みなみと豪太も、口々にそう言うと、真島もグラスをすこし掲げて、応えました。

「一段落ついたって、滑川の事件か」

みなみが止めましたが、豪太の視線は真島から逸らすことができません。

「滑川は起訴します」

「罪名は…」

「窃盗罪…住居侵入罪」

え、とみなみが声を漏らしました。

「それだけ?」

豪太も驚き「強盗殺人ちゃうの?」と聞き返してしまいました。

真島は先刻の樫村とのやり取りを思い出していました。

滑川が持田家に侵入したことは間違いないが、突き飛ばしたことは自白の身であり、物証は無し。

突き飛ばしたとしても、それと死因の因果化関係を証明できず。

まして、殺意の立証はほぼ不可能。

立証できるのは、26件の空き巣と、持田家への住居侵入のみであると判断した、と。

樫村は、こうなることを予想していました。

「法と、証拠に基づいて判断すれば、当然こうなる」

彼は送致されてきた時に長所を読んで、おそらくこうなる、と踏んでいたのです。

「この見通しを立てられないようではまだ半人前だな」

そう言われて素直に頭を垂れた真島は、その求刑を懲役五年としました。

実際には懲役三年になる可能性が高く、もしかしたら執行猶予がつくかもしれません。

「あんたにも“情”があったとはな」

豪太の漏らした一言に、真島は反応しました。

「情?」

「無理矢理にも強盗殺人にされるかと思ってた」

「さすがに滑川がかわいそうになったんやな?」

「お兄ちゃん!」

「僕は最初から窃盗で起訴するつもりでした。送致されて、警察の長所を読んだ時から」

「え?」

みなみは、意外、という顔になりました。

「あんた本気で強盗殺人犯にしようとしてたやないか!」
「私もそうだと思ってました」

「本気ではありませんでしたよ。持田さんが亡くなったのは滑川に突き飛ばされたからかもしれませんが…」

だんだんヒートアップする二人の声を押し留めようとみなみが奮闘しますが、声は大きくなるばかり…。

「神のみぞ知る!」
かほりの凛とした声が響き渡りました。

「真実を知ってるのは、神様だけなのよ…純ちゃん」

彼女は店のスタッフに語り掛けるようにして、三人の言葉を止めました。

「そこで一体何が起こったか、それは誰にも分らない。証拠がなければ、どうしようもない…」
「疑わしきは、罰せず___?」
「そう…つまり、この議論は、無意味」

裁判官の経験者が発する言葉の重みをかみしめて、みなみは復唱しました。

「無意味、ですね」
「そうです」
「お兄ちゃん!」
「解った」

虚勢を張るように、真島は「僕は最初からこの議論は無意味だと思ってました」と言いました。

「本当ですよ、みなみさん」
「もう~蒸し返さない!」

こんどはみなみを真ん中にして言い合う真島と豪太にブチ切れたみなみが「ええ加減にせえ!」とネイティブな関西弁で応酬するとカウンターをばん!と叩いて、かほりがさらに通る声で言ったのです。

「静粛に!」

三人は、まるで子供のようにひれ伏すしかありませんでした。

滑川は起訴され、真島の言葉に素直に反省の弁を述べることになったのです。



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【ケイジとケンジ】1話の感想

何これ、おもしろーい!

意外なほどテンポが良くて濃い警察ドラマに、過去の「HERO」のような検察の流れがもっと濃密に作り込まれており、かなりリアルです。

とはいえ、豪太の存在は「こんな奴いないだろ!」と突っ込みどころ満載ですが。

対極な真島の存在と反発して、あるいは引きあって、いい具合のバランスを構築しています。

真ん中にみなみを挟んで、やじろべえみたい。

そんな物語を、東京ではなく、ちょっと個性的な街の警察署と検察支部を舞台にして作りこんで行くというのも面白いですね。

そう言えば、つい先日放送された神奈川県警察学校を舞台にした「教場」を思い出してしまい…豪太がちょっとだけ日下部(三浦翔平)に重なりましたが。

あの猪突猛進、絶対に風間公親(木村拓哉)に毎日“退校届”を突き付けられていたに違いない。

それにしても濃いなぁ、キャストさんたち。

今回は初回でみんなを紹介する意味もあったのか、盛沢山すぎて、この人たちをすべてきっちり動かして描くのであれば、是非頑張っていただきたい!と思っています。

渋谷謙人くんや峯村リエさんの存在感凄いけど。

なんといっても検察側ボスの柳葉敏郎さん!
…室井監理官から20年以上。
随分貫禄が出てきましたね。

動じないずしりとした重さが良いです!



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【ケイジとケンジ】1話の視聴者の声


↑ 玉手箱!ちょうどiPhone入るくらいのサイズの!こういう小ネタはたまりませんね~。


↑ 八木さん?八木亜希子さん?それは確かに見てみたかったな。


↑ 転生!笑った、このセンスは素敵!


↑ HEROで、検事さんのお仕事がなんとなく分かったような流れがあったけど。警察との連携は新しい視点ですね。


↑ 磯村くん、確かにぐいぐい成長していて、ライダーから見てた層には嬉しい驚きです。


↑ 背後霊?転生?


↑ え、ほんとに?だったら派手でも納得。


↑ ”立ち合い事務官”ていうんですか?普通に検察事務官ではなく?


↑ えーっと…30年くらい前っすかね?好きだったわー。

まとめ

真島にちょっかい出してくる日下役の渋谷謙人さん。
凄い!
今期は日テレの「知らなくていいコト」の週刊誌編集部のグラビアカメラマンと二本立てのレギュラーですよ。

彼が二時間の単発ドラマに登場すると「犯人か」と思うことも多々あるほどの存在感です。

嫌味だけど、第三者的にみると笑えるナイスなキャラクターです。

そして、峯村リエさんの貫禄。

女性バイプレーヤーとしては最高峰のお芝居を見せて下さるお姉さまですが。

これがもう、素晴らしい押しの強さで画面を引き締めてくれました。

大河も朝ドラも経験している福田靖さんのオリジナルな脚本ですから、何が飛び出してくるかわかりません。

浦ちゃんまんまの豪太と、意外性の宝庫の東出くんの楽しいバディっぷりを堪能していきましょう。



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