2019年秋ドラマ

【俺の話は長い】最終回(10話)話のあらすじネタバレと感想!満の明日はどっち?!

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ドラマ「俺の話は長い」最終回(10話)が2019年12月14日(土)に放送されました。

コタツにミカンにグレーのスエット上下の中年&プレ中年男二人。

途轍もなくヤバい匂いがするよ岸辺家の茶の間…。

秋葉家の引っ越し目前!

満たちの明日はどっちだ?!

ここでは、「俺の話は長い」最終回(10話)のあらすじ(ネタバレ)と感想、視聴者の声を紹介していきます。

【俺の話は長い】視聴率(最新速報)と推移分析!視聴者の評価評判は?日本テレビ系・土曜ドラマ「俺の話は長い」は、コメディホームドラマになっています。 主人公の岸辺満(生田斗真)は、大学卒業後に起業に...

【俺の話は長い】最終回(10話)のあらすじ(ネタバレ)

其の十九 すき焼きと引っ越し

人生最後の焼きそば?

房枝さん(原田美枝子)、綾子(小池栄子)、晴美(清原果耶)が出払った平日の昼は満(生田斗真)と光司(安田顕)のパラダイスです。

早々に満作の焼きそばを平らげた光司は下半身をコタツに突っ込んだままでうつ伏せになり、だらだらとデザートのミカンを食べていました。

行儀が悪い!と咎める綾子がいないのでやりたい放題です。

「もしかして満くんの焼きそば食べるの、最後だったのかなぁ」

週末に引っ越してしまえば、光司はもうこんなふうに岸辺家で満と2人の昼食を食べる機会は激減するからです。

「人生で最後だったら、もっとちゃんと味わっておけばよかったなぁ、って思って」

同居してるタイミングでお互いが無職でないとあり得ない、そんなランチです。

「意識してなかった間に人生最後だった、っていう食べもの…結構あるかも」

満の場合は、亡き父のミートソース。
光司の場合には、高校生の頃に通ってたけどある日突然無くなってしまったラーメン屋のラーメン。

どちらも取り換えのきかない食べものだったようです。

「昔…綾子が作ってくれたロールキャベツが食べたい」

「まだ生きてるんだから、頼んで作ってもらえばいいじゃないですか」

「独身時代の綾子は死んだよ…頼めるわけないじゃない…!」

だらだらと、ずるずると、そんな昼下がりの時間は流れていくのでした。

檀野家のジビエの集い

ポラリスの常連、薗田(本多力)が売り込んでいた近隣のお金持ち檀野家のソーラーシステムが完成し、檀野(長谷川初範)がその初・発電で作る料理を振舞う食事会を開くことになりました。

イノシシ(島根県産)、馬(熊本県産)、ウサギ(南信州産)、鹿(北海道産)、熊(北海道産)という豪華なラインナップです。

なんでも、三ツ星レストランと同じドイツ製の最新式電気オーブンで焼くらしく想像するだに旨そうな肉・肉・肉!

檀野は房枝さんや綾子たちも呼んで、送別会をしよう、と企画してくれたようです。

その夜、岸辺家のメインディッシュは刺身でしたが、春海の心はパーティのメニューが描かれたフライヤーに鷲掴みにされていました。

「ちゃんとしたジビエって、初めてかも」

「鹿もうさぎも美味しいわよー」という綾子に、春海は「この紙おかずに白飯いけそうだわ」という始末です。

「お前はどこに行こうとしてるんだよ?!」

晴美だけでなく、綾子も光司もワクワクです。

「じゃあ、全員参加させてもらう?」

房枝さんの呼びかけに、しかし「俺行かないよ」という満。

「送別される人間でもないし」

「そんなこと言ったら私だってそうよ?」

房枝さんも同様です。

「四人で行ってくれば?」

晴美はそんな満に、檀野と顔を合わせればまた議員秘書の話を蒸し返されるのが嫌なんだろう、と推察していましたが、綾子はもう引っ越し前に揉めたくないので(今は)何も言わない、と宣言しました。

肉!肉!肉!とそんな話ばかりしている皆をよそに「刺身喰いながら肉の話なんてしたくない」という満。

「あとで肉食べたかった~とか言っても知らないからね!」

春海にもムキになって「言わないから心配すんな!」という彼は、いくらをたっぷりまぶした白飯を掻っ込んで頬張りました。

それは俺のおかげ

肉の集いの日、引っ越しのダンボールに埋もれそうになりながら、満は光司の集めたマチュピチュのジグソーパズルを淡々と進めていました。

空腹を覚えた彼は、ラーメンを食べに行きつけの店に入ると、牧本(西村まさ彦)が一人で食事をしていたのです。

「檀野さんちには行かなかったの?」

「どうして俺が?行ったところで肉を食いながら檀野の自慢話を聞かされるだけだ」

ラーメンをオーダーした満に、牧本は尋ねます。

「ちょっとは寂しいのか?」

「何が?」

「いや~静かになってせいせいするよ」

「姪っ子と仲良くやってたじゃないか」

「ぜん~ぜん!子守りさせられていい迷惑だ」

「お前は…何を言っても否定するんだな」

「そんなこと」

「ほらまた!」

「牧本さんがたまたま否定したくなるようなことを言ってくるからですよ~」

その夜、満がクラッチで飲んでいると、薗田と部下の渡利(間宮祥太朗)が大きな紙袋を手にやってきました。

どさどさとカウンターに出されるのは檀野の家の肉料理の詰まった密閉容器です。

バイトの小雪(きなり)は大喜びでした。

渡利は大好きな満に「どうして檀野さんちに来てくれなかったんですか?」と尋ねましたが、満は「肉、好きじゃないから」と答えます。

「いやいやいや、動物園の孤高のライオンが肉好きじゃないなんてありえないでしょ?」

「渡利、ライオンの話好きだねぇ」

春海ががっつり肉を食べまくっていたことと、岸辺家での生活が思いの外楽しくて、引っ越すのがさみしい、と言っていた…
と薗田たちは満に話して聞かせていたのですが。

「だったらそれは俺のおかげだ」と満は言い出しました。

「そういうのは自分から言わない方が良いですよ」という海星(杉野遥亮)に「誰からも褒めてもらえないから自分で言うしかない」と返すニートに、カウンターは微妙な空気が流れます。

結局満以外は遅くまで檀野家で楽しんできて、翌朝からまた引っ越し作業が再開されたのでした。

すき焼きを食べる理由

フリマに出品して断捨離したはずだったのに、綾子の荷物はむしろ増えています。

減らした分以上に買い込んでいたから、という春海の言葉でしたが、春海自身もコートとブーツが増えており、人のことは言えません。

満はその朝も光司が使っていた父の部屋の床に寝そべって、マチュピチュの空と格闘していました。その上を「ちょっとゴメンね~」と言ってはまたいでダンボールを運んでいく光司。

「昨日、檀野さんから議員秘書の話されました?」

「ううん、まったく!」

「それはそれで寂しいっすね」

「話題にしてほしくないのかな、って思ってたけど」

その時、階下から房枝さんが二人を呼びました。

綾子や春海が出前のメニューを並べてあれこれ相談していました。片付けが終わらないから、夜は簡単に済ませよう、というのです。

光司は何でもいいといいましたが。

「ちょっと待って、みんな何言ってんの?」

満は猛然とすき焼きを主張しました。

しこたま肉を喰らった翌日の夕食です。

満以外全員が“肉以外”で考えていたところにすき焼きをぶっこんできて、満はその主張の正当性をこれでもか、とPUSHしてきました。

「檀野さんちの肉は関係ない。三か月前のあの日、すき焼きを食べていなかったら、この共同生活は成立していなかった!あの瞬間にすき焼きはこの家族にとって特別な食べ物になったんだ!」

三か月前は「すき焼きは嫌い、あり得ない」とあれほどゴネていたとは思えない言動に房枝さんも苦笑します。

「でも結果的に俺の寛大な計らいによって一緒に暮らすことになったわけだ」

あの日すき焼きだったから、春海が岸辺家にやってきて、もしそうでなかったら今でも登校拒否だったかもしれないし…と滔々と述べる叔父に「それはない」とばっさり言う春海。

しかし、満の舌はとまりません。

この三か月で自分がどれほど綾子のためになる働きをしたか___春海の登校拒否を終わらせ、同級生とのこじれた恋バナを何とかし、義父・光司との関係性を向上させた…それがわかっていたら、黙っていても綾子はすき焼きの用意をしておくべきだったのだ、というのです。

「解ったよ!引っ越したら新居ですき焼きでおもてなしするからそれでいいでしょ~!」

「それじゃダメなんだって!オリンピックの開会式と閉会式は同じ会場でやるでしょ?!」

房枝さんもうんざりするほどの屁理屈に結果全員が折れて、その日の夕食はすき焼きに決定したのでした。

「宣誓~!我々岸辺家一同はすき焼きマンシップにのっとり、肉を卵に浸すことを誓いま~す!」

呆れたみんなが茶の間を出ていくのをよそに、満はガッツポーズを決めるのでした。

そして最後の晩餐

なんだかんだ言って、その夕食のすき焼きはみんな笑顔で囲んでいました。

最初の肉の一枚目を食べるとするすると入っていくから不思議です。

肉を巡ってガチバトルの舌戦を繰り広げている春海と満をよそに、綾子は房枝さんに年越しの予定を聞いていました。

満はクラッチに行ってしまうから、大掃除してビール飲んで寝るだけ、という房枝さんを気遣い、綾子と光司は新居での年越しに誘いました。

「有難いんだけど、お父さん一人おうちに置いておくの可哀そうだし」

「だったら、遺影を持ってくればいいんじゃないですか?」

何気なく光司が言った一言に、また満が噛みつきました。

「え?遺影を持っていったら、一緒に正月を過ごすことになるの?」

光司は、オリンピック選手が遺影を持って参加していることを例えに引き出すと、満は「それは選手を励まそうとしているのであって、一緒に参加しているわけじゃないと思う」と言い、上げ足で訳が分からなくなるほどの屁理屈をこね始めました。

正月に連れて行くなら、どうして綾子たちと行った二泊三日の温泉旅行には連れて行かなかったのか、などと、グチグチ言い始めると綾子は顔をしかめ、春海も「誰もそこまで厳密な設定求めてないから」とバッサリ切って捨てます。

「満くん、話の重箱の隅をつつく競技があったらメダルを狙えるね!」

「絶対金メダルだよ!」

いつの間にか光司と春海の仲も、再婚する前の頃のようなほのぼのしたやり取りになっていました。

しかし、同居している間に春海や綾子はただ満にやられっぱなしでもなく、ある程度の反撃ができるくらいには鍛えられてきたので、満も旗色が悪くなると話をすり替えて誤魔化しました。

昔はポラリス=岸辺家でクリスマスと正月に餅つきをしていたのです。

春海はつきたてのお餅が大好きでした。

「僕にもできますかね…?」

何となくやる気を出した光司を房枝さんが励まし、満が煽ります。

「では、今年の正月からチャレンジしてみますので、お母さんも満くんも是非食べに来てください!」

わいわいとぎゃんぎゃんと食事は進みます。

「今日は流石に〆のうどんはいらない?」

「何言ってんのおばあちゃん!うどんまでがすき焼きだから!」

結局、満だけでなく、全員ががっつりとすき焼きを堪能したのです。

決意

お腹が落ち着いたころ、クラッチに飲みに出た満と光司。

「タクシーの運転手になろうと思って」

暫くニートを決め込むかと思われた光司の思いがけない決意です。

「趣味で音楽を続けようと思ったら、どうしても制約が多いでしょ?」

バンドをやっている小雪は、光司の復活を喜んでいました。

その帰路、人影もまばらな商店街をふらふらと歩きながら、光司は言いました。

「満君には、感謝してもしきれない」

「もし向こうで居場所がなくなったら、いつでも逃げてくればいいでしょ?」

「ありがとう。そういう場所ができたという意味でも、かけがえのない三か月でした」

「また飲みに行きましょう」

「うん、こちらこそよろしく!」

そんな二人が通り過ぎた道沿いには、12月14日のウィンターシティマラソンのポスターが貼ってあったのです。

春海が使っていた仏間を片付けていた綾子と房枝さんはしみじみとこの三か月を振り返っていました。

「もうこの5人で暮らすことは無いのかな、と思うと寂しい」という綾子。

「でもそれが幸せなのよ」と答える房枝さん。

すき焼きは毎年みんなで食べよう、と合意が取れて、笑い合ったのです。

義父の仕事と娘の夢

帰ってきた光司が着替えて茶の間に降りると、まだ春海はコタツで勉強していました。

「光司さんのやりたい仕事聞いた?」

「タクシー運転手でしょ?お母さんから聞いた。お母さんはあんまりいい顔しなかったけど、私はいいと思った。光司さんのペースでやれるなら応援してあげたいと思うし」

「もっと、応援した方が良いなぁ」

「え?」

「光司さんがタクシー運転手になりたい理由はもう一つあるから」

___春海がもし、将来、ラジオパーソナリティになれたとしたら、仕事の合間に聞けるから。

あまりに意外なその言葉に、春海の眼は泳ぎ、ふうん、とだけ返事をしました。

「ふうん、じゃないよ。めちゃくちゃ嬉しくないか?お前はホント、素直じゃないねぇ」

「満兄ちゃんこそ!」

その夜遅く、というか、明け方の空が白む頃。

満が手掛けていた光司のマチュピチュのジグソーパズルはやっと完成したのです。

其の二十 コーヒーとマラソン

去る朝の風景

引っ越しのトラックがやってきて、次々と荷物が運び出される中で、満は光司が可愛がっていたミントの鉢に水をやっていました。

「お前は居残りだってよ」

粛々と搬出が終わった、と思ったら春海の自転車だけが取り残されていたのです。

翌日から使うため、置いていくわけにはいきません。

春海・光司・綾子の間でじゃんけんが行われ、綾子が45分かけて自転車、光司と春海が車で新居に戻ることになりました。
にやにやして先行する光司と春海。

いらついた綾子は、満に自転車で近道をナビゲートすることを要求するのでした。

二人でドライブ

「隣に春海載せるの初めてだから、緊張するなぁ」

ラジオからは、春海の好きなラジオの番組が流れていました。

「こんなんで緊張していたら、タクシーなんて運転できないよ」

「春海はどう思う?お父さんがタクシー運転手になるの」

「お父さんがやりたいのなら、やればいいと思う」

はっとして、光司は車を路肩に寄せました。

「大丈夫?」

春海が気遣うなかで、光司の目がすこし赤くなっていました。

「ゴメン、ちょっと動揺しただけ…」

「もう言わないから安心して」

___お父さん、というその一言。

「え?」

「そんな顔、しなくても…」

「たまにはお願いしますよぅ」

「…じゃあ、4年に一度くらいは…」

「十分です」

光司は、車を発進させながら、指で目元をぬぐっていました。

一方綾子は、荒川の土手を光司と二人で自転車をこいでいました。

「ここで良いわ」

「そりゃ、もう家はすぐそこだもんね」

「ごめんよ、こんな近くまで来てるとは思わなかった」

「うちで冷たいお茶でも飲んでく?」

「いや、別にそんなに疲れてないし…あ~姉ちゃん、昔そこでソフトボールの試合したことなかった?」

河川敷のグラウンドでは野球の試合をしていました。

「中三の最後の大会ね」

応援に来たはずの満がギャーギャーアドバイスをしていたせいで集中できず負けたと思っていた、と吐露する綾子。

「ホントにウチ来なくていいの?」

「急がないと、堺屋のメンチ売り切れちゃうから」

それは房枝さんの晩御飯のおかずのリクエストです。

自転車を回してもと来た道を走り出そうとする満に、綾子は顔をそむけたままで言いました。

「三か月、いろいろありがとうね」

「別に、大したことしてないけど?」

「特に…春海のことは感謝してる」

振り返って、西日の中で目をすがめるようにして綾子を見る満は頷くと「光司さん、あんましいじめんなよ」と言いました。

「優しく接するようにする」

「ははっ!…ねぇ、一個だけお願いきいてもらっても良い?」

「なぁに?」

二人きりの食卓に戻ったとたんに、静けさが沁みるようになってしまった岸辺家の茶の間です。たっぷりの千切りキャベツに、堺屋のメンチカツはとても美味しいけれど、どこか寂しさが拭えません。

寂寞

満はジグソーパズルのフレームを買うと、パズルの完成品を入れて、光司がいた父の部屋に飾りました。

もともとあったコーヒーの道具も売り払ったため、その板の間は広く、すっきりとしており、より一層寂寞感があり、満は落ち着きません。

春海の学校帰り、川沿いの道で同級生の陸(水沢林太郎)から声を掛けられました。

彼は春海の志望校である難関校を第一志望にした、と報告しました。

「受かるわけないじゃん」

「親にも担任にもそう言われた。でも、同じ高校に行きたいから、頑張ることにした」

「…満兄ちゃんは、友達と同じ高校は受けないほうが良い、って言ってた」

「どうして?」

「自分だけ受かって嫌な思いをしたらしい」

「それは、友達と同じ高校に行けるって信じてたからでしょ?俺たちとはスタートラインが全然違う」

「そう言ってて、私だけ落ちたらどうしよう…」

「それが一番面白いね!」

「ホント、何なの?!」

陸はポケットに手を突っ込んでお守りを取り出すと、強引に春海に握らせました。

「これあげる!」

合格・学業御守…もう一つお揃いで自分の分も見せると、陸は言いました。

「頑張れよ」

「人に言ってる場合か」

二人は笑い合い、別れていきました。

その日の夕食はすき焼き。

同じカセットコンロ、同じ土鍋を使っていたのに、なんだか静かすぎて落ち着かない房枝さんと満は黙って黙々と食べていたのです。

人恋しくなってクラッチに向かったものの、今夜は貸し切りでパーティをしていたため、満の居場所はありません。

新しい暮らし

綾子たち秋葉家の新居では、ルンバがバリバリと働き、キッチンで綾子は光司の大好物だったロールキャベツを作っていました。

「またお目にかかれる日が来るとは…」

光司は三年前と変わらず美味しいそれを堪能し、顔をほころばせていました。

「まさかここまで喜ぶとはねぇ!」

満が別れ際に頼んできたのは、これを一度作ってやって欲しい、ということでした。

「そうだったんだ?今度お礼しなきゃなぁ」

春海のお迎えも光司が担当するようになり、綾子の負担は軽減していたのです。

“やる”のか?!

満は、静かになった家の中で考えに考えて…机の上にひろげたノートに大きな文字で「やれ」と書いていました。

それは、自分を捨てた恋人(?)の明日香が、海星に託してくれたはなむけの言葉です。

翌朝、
満はコタツでメロンパンをかじりながら、隣で洗濯物を畳む房枝さんに言いました。

「はいはい、解りましたよー。そこまで言うなら議員秘書の面接受けますよ」

「え?私何も言ってないわよね?」

「言葉にしなくても、顔見りゃわかるよ」

「あなた…もしかして面接受けたくなったの?」

「は?そんなわけないだろ?!」

「自分で“行きたい”っていうのが恥ずかしいんでしょ~」

「じゃあ良いよ、行かないから」

「どうしてそういうこと言うの!」

「だって、俺に面接行って欲しいんでしょ?」

「もう!解ったわよ!」

「ちゃんと、面接に必要な書類とか心構えとか聞いといてよね」

「それは…履歴書とか職務経歴書とかじゃないの?」

「母さんに聞いてるんじゃなくて檀野さんに確認して?!」

「はいはい」

「スーツは…買わなきゃないんだよね」

「成人式の時に買ったのが一着だけあるんじゃない?」

「あんなおちゃらけたスーツ着てったら失礼だろ」

「じゃあどうするの」

「買いに行くしかない」

「お金…」

「買う金くらい、あるよ」

「犬の散歩のバイト、そんなにお金よかったんだ?」

「いちいちうるさいんだよ!」

それでも、房枝さんは嬉しそうに笑っていました。

「やる気削ぐようなこと、言わないでくれる?」

その日、満は量販店で19800円のスーツを見て、オーダーの紳士服店で220,000円のスーツを見て…あれこれ迷っていました。
面接は翌日と決まり、綾子たちは、うまく行くようにと祈りつつ、スーツ姿を見てみたい、とも思っていたのです。

クラッチでは、薗田と渡利がカウンターで飲んでいました。

「満さんを長年見守ってきた人間としてはどうなの?」

渡利の質問に、海星は少し考えて言葉を選びながら言いました。

「嬉しい反面、寂しさもありますね」

「ずっと無職のままでいて欲しかったんですか?」

小雪の言葉に「そういう人間が身近に一人くらいいてもいいと思わない?」と海星は笑いました。

「さすが海星、満さんの無職が長引いた一番の原因と言われた男だけのことはあるねぇ」

薗田が言うことは当たっていたかもしれません。

「面接に受かっても落ちても変わらず店に来て欲しい。僕の願いはそれだけです」

「良いねぇ」

渡利が言うと、みんながふふっと笑いました。

マラソン日和に

良く晴れたその日、満はスーツをバシッと着こなし…しかし、さすがに慣れていなさすぎて、身体に馴染まず、変なポーズでフィット具合を確かめながら階段を降りてキッチンに入っていきました。

そして、やおらコーヒーを淹れ始めたのです。

「おはよう!」

房枝さんは、まずそのいでたちに驚き、そして久々のコーヒーの香りにも驚いていたのです。

「おはよー」

「いいじゃない!似合ってるわよ!」

房枝さんはダッシュで一眼レフカメラを取りに行き、バシャバシャとスーツ姿を撮り始めました。

「何してんだよ?」

「綾子たちに写真撮っといてッて頼まれたの!今日で見納めになるかもしれないでしょ?」

「縁起でもないこと言うなよ!」

房枝さんは満面の笑みでシャッターを切り続けていました。

「母さんもコーヒー飲む?」

「久しぶりに、頂こうかしら」

房枝さんにカップ一杯のコーヒーを差し出して、満は家を出ました。

次第に賑やかな人の声と気配があふれてきます。

そう、今日はマラソン大会だったのです。

沿道の人の群れの背後を通りながら歩いていた彼は、マラソンを応援するためにスタンバイしていたおじさんバンドの皆、光司や諸角(浜谷健司)、薗田や渡利、そして綾子と春海に姿を見られてしまいました。

複雑な表情を見せる満は、光司たちが演奏する調子っぱずれなロッキーのテーマを背に受けて、再び歩き始め、そんな彼に、綾子や春海は言いたい放題に、しかし心を込めて応援の言葉を贈ったのです。

「「「「がんばれー!」」」」

その時、忘れられない声が聞えました。

「スーツ似合ってるぞー!」

コースを走り去る後姿に揺れるポニーテール___明日香でした。

満は涙をぐっとこらえて顔を上げたのです。

「ママの粘り勝ちだね」

牧本が言いましたが、6年もかかったそれが勝ったと言えるのか…。

ポラリスのカウンターで、その歩みをずっと見てきた二人は少しだけホッとしていました。

「これでもし就職しちゃたら、お墓参り、どうしよ?」

「俺で良いだろ?」

「だって、牧本さん、免許取りたてでしょ?」

「霊園までは滅茶苦茶得意なんだから!」

彼は房枝さんのために懸命に練習を重ねていたようです。

「じゃあ今月一度お願いしようかしら。でもお父さんやきもち焼きだから、気を付けてね」

「怖いなぁ」

満は指定された衆議院の議員会館の一室にいました。

「面接を受けようと思った動機はなんですか?」

「周りの人から、向いてるから行けって、散々言われたんですよ。そこまで言われたら、まぁ、行かないのも違うかなぁと思いまして」

「あなた自身、どうしても働きたいという気持ちがあまり無い、ということですか?」

「いや、誰もそんなこと言ってないじゃないですか。そもそも働く気がない人間がスーツ新調して面接来ると思いますか?上下で七万円もしたんですよ。ネクタイ、この形にするのに30分…朝、五時半起きですよ?!」

いかにも、満らしいドヤった顔でカメラ目線。
どうやら満は本質的に変わろうとは思っていないようですが、今までとは違う何かが、彼の中には芽生えたのかもしれません。



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【俺の話は長い】最終回(10話)の感想

何か劇的なことが起こるのか、とドキドキしていましたが。

淡々と終わったなー…なんだか、拍子抜けしてしまったのです。

もしかしたら、房枝さんに良くないことが起こるんじゃないだろうか、とか、牧本が運転免許を取って云々ということから高齢者ドライバーの事故とかそういうことをいっぱい心配して物語中盤からドキドキしていたんですが。

なんだ、傲岸不遜なニートがとりあえず社会復帰のきっかけをつかむところまでで終わるのか?!と違う意味で驚き、最後の満のドヤ顔をみてふっと笑ってしまったのでした。

二度目を見て、ラストがわかったうえで細かいところをあれこれ見てみたのですが。

そうか。
これ、実写版サザエさんなんだから、物凄く劇的なことはやらないんだ?!と気づいてしまった…。そして、おそらく、ほんわかと“ちょっとよさげな話”で終わっていったんだろうな、と。

だれも傷つかず、だれも悲しまず、前を向いていけるような。
そんなハートウォーミングなドラマ。

怖いところとか、衝撃を受けるところなんかは、恐らく「ニッポンノワール」が今季は全部持って行ったんだろうなぁ、と。

ただ、ちょっと残念。
流石に30代半ばでスーツが成人式の一着だけってのはありえなくないかと思うし。

さらに、あの面接の態度ではそのまま返品されるだろ。
ドヤるとこちがう。
受かってからドヤれ、満。

どうせなら、議員秘書→議員→総理大臣くらい上り詰めて日本を変えて最後にコーヒー片手に演説しながら「俺の話長くてごめんねー!」くらい言って欲しかったなぁ。

しかし生田斗真、凄い。
立て板に水のあの長台詞をべらべらとよくしゃべった!

そしてあの密度のセリフの群像劇をきっちり尺に収めた役者陣と編集した人素晴らしい!
日テレ史上に残る名作であることには間違いないドラマです。

うん、面白かったね。
見るの、結構体力遣うけど(笑)!



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【俺の話は長い】最終回(10話)の視聴者の声


↑ ぐいぐい引き込まれる、その引力が凄いのです。


↑ 不撓不屈。だからこそのロッキーのテーマだったのか、と思った。


↑ そう、小池栄子の綾子が素晴らしくて!気の強さ、早口なところ、そして、優しい。


↑ 癖になるっていうか、中毒性高いっていうか。


↑ 一話30分のメリハリが良かったっていうのも、確実にある。


↑ 綾子のそのセリフ、脳内変換した(笑)!


↑ お父さん、前回違う形で登場していましたね。そういう部分も面白かったなぁ。

まとめ

脚本も凄いけど、演出がまた素晴らしい。

二人だけでのんびり暮らしていた家に三人増えると一気にぐあーっとにぎやかさがさく裂し、三人が元の暮らしに戻ると、何とも言えない侘びしさ、寂しさが漂うようになる、そんな岸辺家の描写。

同じ部屋なのに、同じ、満と房枝さんの暮らしなのに。

その落差の表現が胸に刺さります。

昭和の匂いがする岸辺家の建物、好きだなぁ。

制作陣のこだわりが随所にみられる素敵なおうちでしたね。

作中で不動産屋さんの査定がいくらだったのかは公開されませんでしたが。

欲しがる人、結構いるんじゃないだろうか。

凄い役者さんばかりが集結したなかで、やっぱり生田斗真は傑出していましたね。

普通の人間はあんな屁理屈、お芝居としてもこっぱずかしくてできないんじゃないかな、というところまでぐいぐい踏み込んでまるでニシキヘビがとぐろを巻くように相手を取り込み、ほぼほぼ自分の思うとおりに事を運んで行っちゃう、その手腕は
流石の一言に尽きるな、と。

続編、あるかな?

とりあえずニートはやめろ、満。
今度は議員秘書の君に会いたい。



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